排水の熱を温水に利用した取り組み

環境保護への対応や電気・ガスに掛かるコスト削減の取り組みとして、現在ヒートポンプ技術のさらなる活用が注目されています。空気を熱源とするヒートポンプについては家庭用の給湯器などにおいて広く普及していますが、工業分野や食品分野での水を熱源とした大容量のヒートポンプについても広がりが見られます。

水熱源のヒートポンプは、一般的に空気熱源ヒートポンプよりも効率の良い運転が可能ですが、熱源となる安定した排水が必要になります。空気熱源ヒートポンプと比べると大容量の加熱に向いており、大規模な排水がある場合には排熱回収で大幅な省エネが期待できます。その中でも効果が見込める例をご紹介させていただきます。

食品工場

例: 原材料や製品の洗浄および殺菌に使用された温水を熱源にしてヒートポンプで加熱し、建物内の給湯や暖房に利用します。
特徴: 食品工場では大量の温水が排出されるため、熱回収のポテンシャルが高いと推測されます。
メリット:温水の排熱を有効活用することで、エネルギーコストを削減できます。
省エネ・環境面:ヒートポンプは高効率な熱源機器であるため、全体のエネルギー消費量とCO2排出量を削減可能です。

温泉・入浴施設

例:温泉の掛け流しや大浴場などで使用された温水を熱源にしてヒートポンプで加熱し、館内の給湯や暖房に利用します。
特徴:温泉の源泉温度によりますが、非常に効率的に熱エネルギーを回収できます。
メリット:温泉の排熱を有効活用することで燃料費を大幅に削減できます。また、温水供給が安定し、利用者に快適な環境を提供できます。
省エネ・環境面:ボイラーに使用する化石燃料の使用量を減らし、環境負荷を軽減できます。

ホテル・旅館

例:浴室や厨房から排出される温水を熱源にしてヒートポンプで加熱し、客室の給湯や暖房に利用します。
特徴:規模が大きなホテルや旅館の風呂・厨房などでは温水を多量に使用するため、熱回収量が多くなります。
メリット:温水の排熱を有効活用することでエネルギーコストを削減できます。
省エネ・環境面:CO2排出量の削減に貢献できます。

金属部品工場

例:金属部品の洗浄に使用した温水を熱源として新たな洗浄水の加熱に利用できます。
特徴:排水熱と給水熱の温度差が比較的少ないため、効率的な活用が見込まれます。
メリット:供給水の加熱燃料を大幅にカットでき、ランニングコストを削減できます。
省エネ・環境面:CO2排出量を削減でき、工業に対するイメージの改善にもつながります。

水熱源の排熱回収ヒートポンプ

当社で取り扱い中の排熱回収ヒートポンプは最高出湯温度90℃の加熱性能を実現しています。加熱給水にかかるランニングコストとCO2排出量の大幅削減が期待できます。
調理用給湯・殺菌工程用給湯・洗浄用給湯などを冷却塔などで冷却する一方、ヒーターで加熱した水を別用途で使用している工場などでは、冷却塔とヒーター両方のランニングコストを削減可能です。

【熱源水入口温度範囲】20~45℃
【温水入口温度範囲】15~70℃ →【温水出口温度範囲】20~90℃

東栄ではその他にも多数の関連製品を取り扱っています。

※当記事公開時の情報です。