データセンターPUE規制が本格化へ、サーバ冷却に求められるチラーの役割
データセンターPUE規制が本格化へ、サーバ冷却に求められるチラーの役割

現在、2029年度以降に新設されるデータセンター※のPUEを1.3以下とする罰則付き基準が設けられる方向で検討されています。すでに既存の施設に対して2030年度にPUE1.4以下という努力目標が課せられていますが、今後は新設・既存を問わず対応強化の動きが予想されます。中でも、サーバ温調に用いられる空調設備やチラーの消費電力削減が重要視されています。本記事では、データセンターの消費電力規制強化の背景やサーバ冷却に求められる省エネについて触れてみたいと思います。※一定基準に該当する施設、稼働2年後の数値
目次
DCの電力消費の増加と規制強化に向けた背景
クラウドサービスや生成AI、特に画像・動画生成の普及で、データセンター(DC)の電力需要は急増しています。国内DCの電力消費量は2025年には180億kWh、2026年には230億kWh、1年で27.9%も増加する推測もあり、今後もGPUサーバの高密度化でさらに拡大する見通しです。
こうした背景から、省エネ法の枠組みでDC業にPUEのベンチマーク制度が導入され、平均PUEは2030年度に1.4以下、2029年度以降の新設DCは1.3以下という水準が示されており、一定基準に該当する新設DCについては罰則付き規制も検討されています。PUE目標はDC事業者が必ず向き合う「規制対応の課題」になりつつあります。
基準となるPUEとは
PUE(Power Usage Effectiveness)は、DC全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値で、純粋にIT機器だけの消費電力を1とした場合に、サーバ冷却、照明、無停電電源装置の変換ロス、配電ロスなどのIT機器以外の要素での消費電力の指標とされています。
規制基準がPUE1.4以下であれば、IT機器以外の消費電力をIT機器の消費電力の40%以下に抑えなさい、ということになります。
このIT機器以外での電力消費はオーバーヘッドと呼ばれ、その中で最も大きいのが冷却設備の電力と言われており、PUE改善の主戦場になっています。PEUの世界平均は2020年以降1.58前後で、1.4を下回る施設は一部にとどまります。
海外の動向とGoogleの取り組み
海外では、規制がすでに「基準の義務化」へ進んでいます。EUのエネルギー効率指令(EED)は、一定規模以上のDCに年次の情報公開を求めています。
ドイツでもエネルギー効率法でPUEの上限が定められていますが、要件を緩和する改正案も議論されています。それでもPUEを法的な要件にする方向には向かっています。
一方、Googleでは、2025年にDC全体で平均PUE 1.09を達成したと報告しています。高効率な冷却設計、外気や海水を活用した自然冷却、AIによる運転最適化などを組み合わせた成果で、業界平均との差は歴然です。中でも、自然冷却を利用するフリークーリングの手法も大きい役割を果たしていると言われています。
PUE目標達成への取り組み
では、PUE改善のためにどのような対策が取られているか、具体的に見ていきます。
PUEを改善する近道は、オーバーヘッドの中心である冷却電力を減らすことです。代表的な取り組みは次のとおりです。
気流管理の最適化
ホットアイル・コールドアイルの分離、つまり冷却用空気とサーバからの排気が混じると冷却効率が下がるため、それぞれのルートを分けて冷却ロスを減らしたり、暖気の逆流を防止する、という手法です。
給水温度・設定温度の引き上げ
必要以上に冷やさず、空冷・液冷の温度を上げて冷却機器の負荷を下げる手法です。Googleのデータセンターはカスタムサーバ設計により、従来の20°Cの設定ではなく27°Cでサーバが運用されているそうです。
自然冷却(フリークーリング)の活用
外気温が低い時期は冷却機器の圧縮機(冷凍機)を止めて外気との温度差で冷却したり、寒冷地にDCを建設して外気や海水により冷却する手法です。
サーバ冷却効率の改善
空調機による冷却から、サーバを冷却液に直接浸して効率的に冷却できる液冷に転換したり、インバータ制御などで部分負荷時の効率を高める手法です。
特に、ここ数年急増している生成AIサーバのような高発熱機器は、空冷での冷却では限界があり、半導体メーカーもより効率的に冷却できる液冷を前提とした生産にシフトしています。
今後は、空冷(空調機)から液冷(チラー)への設備転換、インバータ搭載機種やフリークーリングの取り入れが進むと予想され、「どのチラーで冷却水を作るか」がPUEに影響を与えると考えられます。
液冷用チラーの省エネについて
当社では、オリオン機械の各種チラーを取り扱っています。
中でも、フリークーリング型エコハイブリッドチラー/FCMCリーズは、外気を使う自然冷却用のファンクーラーとDCインバータチラーを一体化した省エネハイブリッドチラーで、コンテナ型DCや中小規模DCでの熱源冷却に適した製品です。
戻り水温と外気温の差を利用して自然冷却を行い、冷却が足りない場合はチラーを運転するため電力消費を大きく削減でき、年間を通じた運用条件を踏まえて省エネを検討する際の選択肢となります。
特に、冷却液の設定温度を比較的高くできるシステムでは、自然冷却を利用できる時間がさらに増え、省エネ効果がより期待できます。
オリオン機械 フリークーリングモジュールチラー/FCMC(空冷式)
フリークーリングモジュールチラー/エコハイブリッドFCMCは、インバータチラーと自然冷却を活用するフリークーリングを一体にしたハイブリッドチラーです。
フリークーリングは、チラーへの戻り水と外気温との温度差を利用した自然冷却により、本来は冷凍機で消費する電力を大幅に削減。特に冬季は戻り水温と外気温の差が大きくなるため、冷却の多くをフリークーリングで対応でき、中間期や夏期はインバータチラーとフリークーリングを組み合わせて、最適な運転を自動で選択します。
別売のコントローラを使用して、8連結×4セット=最大32台までのモジュール制御が可能で、V字シェイプのためメンテナンススペースを確保しつつ、設置面積を削減可能です。
■この製品の詳細は
フリークーリングモジュールチラー/FCMC
まとめ
DCの電力需要に伴い、発電所の増設といった電力確保と、DC全体での省エネ対策は、安定的なDC稼働にとって両輪と言えます。今後も、PUE目標や関連制度の動向を把握するとともに、冷却設備を含む施設全体の電力利用を見直すことが求められます。
当社も、フリークーリング型チラーをはじめとした各種チラーや各種空調機の販売を通して、データセンターのオーバーヘッド改善に貢献いたします。
※当記事公開時の情報です。






