微生物燃料電池、土中から生まれる未来の電気
現在、愛媛県のみかん農園で、発電菌を利用した微生物燃料電池の実証試験が行われているというニュースが注目を集めています。
発電菌とは、土壌中に生息する微生物の一種で、有機物を分解する際に発生する電子を体外へ放出する機能を持っており、酸素がなくても有機物からエネルギーを取り出すことができ、この電子を電極に集めることで、微生物の働きを電力に変える研究が進められています。
発電菌と嫌気性菌の関係性と課題
発電菌として知られるシュワネラ菌は通性嫌気性菌で、酸素があってもなくても生きることができますが、嫌気性環境下では有機物を分解する際に電子を効率的に放出するため、発電菌としての能力を発揮すると考えられています。
発電菌と呼ばれる電流発生菌の研究は2000年代初めから急速に研究が進んでいますが、取り出せる電力が少ないことや、実用化に向けた技術的な課題も多く残されており、まだ商業ベースには乗っていません。
発電菌の可能性と未来
まだ商業化へのハードルがあるとはいえ、発電菌は土壌中の有機物を利用して発電するため、電力網が整備されていない場所でのセンサー駆動や、スマート農業におけるデータ収集など、小規模な電力供給が必要な場面での活用が期待されています。
また、下水処理場での汚水処理には微生物を使った活性汚泥法が広く用いられますが、この方法で使われる微生物は汚水中の有機物を分解する際に酸素を必要とするため、水中への空気供給に多くの電力を消費します。
それを嫌気性の発電菌による微生物燃料電池を活用することで、酸素供給の電力を削減した省エネ汚水処理が可能になるとも言われ、無酸素状況でのバイオマスとしての活用が期待されています。
発電菌研究の加速と効率的な研究へ
当社ではシュワネラ菌で注目される嫌気性菌の研究と培養に寄与するバクトロン嫌気性チャンバーを取り扱っています。
バクトロンの高度な制御機能により、チャンバー内を嫌気状態に保つことができるため、発電菌の研究および培養に最適な環境を提供することが可能です。
発電菌の研究において、バクトロンが果たせる役割は大きく、以下のような点が挙げられます。
●発電菌の効率的な培養
バクトロンを使用することで、発電菌を安定的に培養し、その特性を解析に寄与します。
●新たな発電菌の探索
様々な土壌サンプルから、より高効率な発電菌を研究することができます。
●発電菌の遺伝子改変
遺伝子工学的手法を利用して、発電能力を高めた新たな発電菌の研究に貢献します。
発電菌による微生物燃料電池の研究は、日本の耕地で54.4%※を占める水田での発電など、再生可能エネルギーの新たな可能性も視野に入れた、今後の発展が期待されます。
バクトロン嫌気性チャンバーは微生物燃料電池の研究を加速させるためのツールとなり、あらゆる嫌気性菌の研究に貢献いたします。
(※令和4年農水省調べ)
東栄ではその他にも多数の関連製品を取り扱っています。
※当記事公開時の情報です。