雪の立ち往生、企業の責任について考える

雪による立ち往生の企業責任

流通部門を持つ会社や商品の発送に長距離輸送を利用する会社様は、この時期は積雪による事故や立ち往生のリスクが大きくなります。予防的通行止めや広域迂回などにより、深刻な立ち往生は防止されつつありますが、社用車が立ち往生の原因車となった場合はもちろん、商品の運送会社が原因車となった場合でも、会社に行政処分が及ぶ可能性もあります。今回は立ち往生に関する会社としての注意点について再確認してみたいと思います。

原因車にならない

社員が運転する社用車が雪道で立ち往生の原因車となってしまった場合、会社が負う責任は「緑ナンバー(運送事業用)」か「白ナンバー(一般業務用)」かによって大きく異なります。近年は国土交通省の立ち往生に対する行政処分が厳格化される傾向にあり、稀ですが白ナンバーでも行政処分の対象となる場合があります。

一般的に社用車は白ナンバーですが、白ナンバーの社用車を5台以上抱える事業所様では安全運転管理者の選任義務があり、運行前に冬用タイヤの装着確認や異常気象時の安全確保を行う義務があります。ノーマルタイヤであることを知りながら業務命令で運転させた場合、会社や安全運転管理者が道路交通法違反の教唆や幇助に問われる可能性があります。

  • 大雪警報が出ている際など、安全に運転できないと判断される場合は、運転者に運転を控えるよう指示する義務があります。
  • 運行前に、タイヤの溝が十分にあるか、空気圧は適正かを確認させる義務があります。
  • 整備不良と認定された場合、会社側に両罰規定が適用され罰則金が科される可能性があります。
  • 運転者個人にも罰則金が課せられる可能性があります。

運送会社に無理をさせない

法改正により、無理な運行を強要した荷主に対する行政処分が強化されています。運送会社に無理に配送を依頼し、その結果として立ち往生(法令違反や事故)が発生した場合は、国土交通省からの警告や勧告、国土交通省ホームページ等での社名公表の対象となります。また、行政処分とは別に事故や立ち往生によって生じた損害について、荷主が賠償責任を問われる可能性もあります。

以下のような行為が無理な運行強要に該当します。

  • 異常気象時の運行強要
  • 到着時刻の厳守強要
  • ペナルティの示唆

社員の安全、関連会社の安全を確保した運転・配送への心掛けが、会社全体のリスクの軽減につながります。

荒天への備え:常備品参考例

毎年冬の訪れの前に期限切れなどを確認して常備品としてセットしておくことが大切です。まとめられる物はプラスチックの衣装ケースなどに入れて、いつでも持ち出せるように常備しましょう。
マフラー周りの除雪用スコップがない・破損した場合でもプラスチックの衣装ケースであれば除雪に利用できます。

タイヤチェーン・ジャッキまずはチェーン規制の有無を確認してから運転
ブースターケーブル解消時にはバッテリーが上がっていることも想定
スタック脱出用グッズ砂やタオルなどの布
牽引ロープ他の車に引っ張ってもらう、他の車に引っ張る
ガソリン携行缶あくまで緊急用のため注意が必要、基本は事前の満タン給油
スコップマフラー周りの除雪用
長靴・防水手袋・軍手濡れ防止が大切
解氷剤ワイパーの固着防止、鍵穴の凍結防止
懐中電灯夜間作業用
非常用食料甘い物や高カロリーの物は体温維持に効果的
飲料水エコノミー症候群や脱水症状を防止にも重要
携帯トイレ使用後に密封する袋もあれば良
毛布・寝袋夜間の仮眠や同乗者との交代休憩時など
厚手の上着車外作業や燃料節約のエンジン停止時のため
使い捨てカイロ貼る用と持つ用があれば良
靴下濡れた場合の履き替えや重ね履きに利用
モバイル充電器具USB充電器など、リチウムイオン電池は発火に要注意
緊急連絡先JAFなどの連絡先、会社の緊急連絡先、道路緊急ダイヤル

関連製品:発熱ブランケット/レディヒート

レディヒートは、開封するだけで大気中の酸素と反応して発熱する発熱体が配置されたブランケット状の不織布シートです。アルミシートのような保温ではなく物理的に加熱する自己発熱式のため確実な体温維持対策に効果的です。
燃料節約のためエンジンを切った場合や、車内で一晩過ごすことになった場合でも体を覆って暖めることができ、放熱も防止できるため、低体温症の予防処置に役立ちます。

東栄ではその他にも多数の関連製品を取り扱っています。

※当記事公開時の情報です。